Challenge
#16岩塚製菓が協賛する長岡まつり大花火大会が3年ぶりに開催!
大花火大会への思いを花火師さんと長岡花火財団に聞きました
新型コロナウィルス感染拡大により2年連続で中止となっていた長岡まつり大花火大会。2022年は3年ぶりに開催されることが決定しました。岩塚製菓は、この大花火大会に毎年協賛し、長岡を代表する一大イベントを皆様とともに楽しんでいます。
ここでは、この大会を支える花火師さんと大会を主宰する長岡花火財団にうかがったお話をご紹介。長岡の花火をより一層楽しめる情報をお届けします。
お客さんの反応が何よりも嬉しい。
夏のはじまりを告げる長岡の花火
3年ぶりの開催が決まり、ありがたい気持ちでいっぱい
通常、花火はお盆を過ぎたあたりから翌年に必要な分を作り始めるのですが、新型コロナウィルス拡大の影響で花火大会が次々と中止され、2020年のゴールデンウィークごろからはしばらく休業していました。2021年は花火大会があることを信じてまた一時火薬づくりを再開したのですが、やはり中止であるということでまたも休業。2022年の1月までは工場を閉めていました。
今年も開催できるかどうか春頃までは見通せない状況でしたが、発表があってから花火を作り始めるのでは到底間に合わない。2月ごろからは、開催を願って再び花火を作り始めました。無事に開催できることになり、ありがたい気持ちでいっぱいです。
世界に誇れる日本の花火文化。
新潟は特に花火の打ち上げが多い地域
例年、大小合わせて40大会分くらいの花火を手掛けていますが、長岡まつりを機に大きな大会が立て続けに開催されるので、私のなかで長岡まつりは夏の始まりを感じさせる大会です。長岡市民の皆様のなかには、夏の終わりの合図と感じていらっしゃる方もいるようですね。
今年は県外の大会はまだ開催されないところも少なくありませんが、新潟県内の大会はだいたい催行されるようです。実は新潟は花火が盛んな地域。神社のお祭りでも花火をあげる習慣があるので、件数はそれなりに戻ってきたといえます。
他県の人に話すと驚かれるのですが、新潟では子どもの誕生祝いや結婚祝いのために、個人の方がお金を出して花火を打ち上げるんですよ。ある種の文化といえるでしょうね。
うちの花火は17名の従業員とともにほぼ手作業で作っています。
今、世界の花火のうち約8割は中国で作られていますが7号玉(7号玉:直径約200mの花火になる)以上の花火を作るには日本の技術が必要です。海外で大掛かりな花火が打ち上げらるときには、日本の花火師が関わっている例が少なくありません。私も2008年の北京オリンピックでは技術指導にあたりました。弊社の会長はシドニーオリンピックやソルトレイクシティオリンピックでの打ち上げに携わっています。
無事に打ち上がるまでは不安でいっぱい。
けれど観客にただ喜んでほしくて
阿部煙火工業が会社として設立されたのは昭和27年のことですが、花火自体はそれよりも前から作っていたようです。古い写真はあるのですが、正式な記録はありません。けれどここで継承されてきた作り方が、今に続いていることはたしかです。
長岡で使う花火は基本的にお客様(協賛者)のものだと思って作っています。自分の作品として何かを表現したいという思いよりも、花火を皆様に楽しんでいただきたいという気持ちが強い。一方で、大曲などで開催される競技会に出品するものには、自分の作品を作っているという気持ちがあります。どこでどのように打ち上げるかによって、花火づくりへのマインドはかわりますね。
基本的に花火が打ち上がるまでは不安しかありません。もしも内部に不具合があっても打ち上げてみるまではわからない。火薬が湿っていたとか、点火の過程で何かが引っかかってしまったとか、不具合が発生する可能性はいつもあります。現代では点火はボタン一つで行うわけですが、電線が断線することだって起こりうる。必ず上空で花開くという保証はないんです。さらにいえば、観客の皆様が喜んでくださるかもわからない。花火が風で流れてしまうこともあれば、煙やガスがかかってよく見えないこともある。観客の皆様ご自身の様々な状況も花火をきれいだと感じるかどうかに影響しますよね。花火がきれいに打ち上がって、それを楽しんでいただくにはいくつもの要素が揃わないといけないんです。
1年間、打ち上げるために製造を頑張っているわけですが、打ち上げシーズン中は毎日ずっと緊張していますね。失敗することを夢に見ることもあります。機材を忘れた夢に冷や汗をかいたこともありますよ。今年はとくに3年ぶりなのでドキドキしてしまいますね。
長岡まつりでは、
中規模の花火大会の総量に匹敵する花火が1分間で打ち上がる
旧来の花火はだいたい、赤、青、黄、緑、紫の5色だったのですが、近年になってピンク、オレンジ、水色、レモンイエロー、そしてニュアンスの異なる紫などが出せるようになりました。白っぽい色は昔は「失敗」と受け取られることもあったようですが、最近は人気があります。とくに、岩塚製菓さんが協賛しているワイドスターマインはグラデーションが作れるためにきれいに見えます。
長岡まつり大花火大会のすごいところは、中規模の花火大会1回分に匹敵する量の花火が1分間にあがってしまうところ。なんとも景気のいい祭りです。
通常の花火大会では尺玉(=10号玉:直径約280mの花火になる)を一つあげるのにも緊張するものですが、それがどかどかと上がる長岡まつりではそんなことを言っている場合ではありません(笑)。大変な騒ぎです。
各地域で開催される花火大会の規模は様々ですが、一番大切にしたいことは、「自分の地域の祭りが一番だ」と思ってもらえるようにそれぞれの花火を丹精込めてつくっています。
一人前の花火師になるには一生かかる。
それでも花火は面白い
他のものづくり業界にもれず、花火の世界でも職人は減っています。ときどき「花火師になりたい」という問い合わせもありますが、職人にまで育て上げることは難しい。そもそも一人前の花火師になるには一生かかります。私もまだまだ道半ば。花火を作る過程は言葉で説明しきれないことが多く、ある程度は実際に見たり触ったりしながら経験をしていかなくてはならないことが少なくないんです。もちろん火薬を扱っているので危険もある。それでも花火の仕事は面白いですよ。何よりもお客様の反応がうれしい。
とはいっても、長岡まつりでは凄まじい量の花火が上がるので、僕がいるところには花火会場のお客様の声は聞こえないんですよ。だから後日「きれいだったよ」と声をかけてもらうことがうれしい。録画した映像をみて皆様の反応を見るのも楽しみです。今年もぜひ多くの人に楽しんでいただきたいですね。競技会での評価や成功ももちろん嬉しいのですが、自分にとって影響が大きいのはやっぱり皆さんの声の方ですかね。
花火ができるまで
花火が出来上がるまでの過程を特別に見せてもらいました。夜空に咲く大輪は、一つひとつ職人の皆さんの手で作られています。
まずは火薬となる原料を合わせて練り、火薬玉(星)をつくっていきます。1ミリ大きくするごとに乾かすことを繰り返すので、1日に1~2ミリしか大きくなりません。
できた星を紙の玉の中に詰めます。通常、外側の星には光に色を着ける成分が混ぜ込まれています。写真に写っているのは、錦冠菊(しだれ柳)なのでここには金色に光る金属が混ぜ込まれています。
紙の玉の外にクラフト紙を何枚も貼って強度をもたせます。花火玉の発射薬が持つエネルギーが凄まじいため、強度をもたせなくては打ち上がる前に爆発してしまうためです。
花火はこれにて完成。火気のない場所で出番を待ちます。
思いをつなぎ生活に活力を与える、長岡の花火
新型コロナウィルス感染拡大の影響により2年連続で中止となってしまった長岡まつり。中止は戦後初めてのことでした。2022年は3年分の思いを込めて、安全第一に開催します。
コロナ禍により、私たちは日常のありがたみに気づくことができました。当たり前のように人が集まれたこと、一緒に食事ができたこと、花火を見ることができたこと……。2020年からはやむなくそれまでとは異なる日常を送ってきたわけですが、この祭りを機に少しずつ日常に帰っていくことができることへの希望を伝えていきたいです。そのためにも、必ず、安全にイベントを終わらせたいと考えています。また来年、再来年とこの日常が続いていくことを祈念して……。
長岡の皆様はよくご存知のように、長岡まつりは慰霊や復興・平和を願うために長年続いてきました。長岡まつりが大きく発展したきっかけは、1945年の長岡空襲です。犠牲者の慰霊のために、空襲の1年後から「復興祭」が執り行われ、長岡の人々を慰め、励ましてきたのです。長岡市民は幼いころから長岡まつりの歴史を知ることで平和教育を受け、長岡にあった痛ましい出来事を記憶しています。さらには2005年からは新潟県中越地震の犠牲者への慰霊や被災からの復興への思いもこめられるようになり、市民の心をさらにつよく結びつけていくものとなりました。
長岡の花火が心を打つのはきっとこれらが理由でしょう。ただ美しい花火に感動するだけでなく、そこにこめられた思いが皆様の心に響いているのだと思います。
長岡まつりは市民の心のよりどころであり、市民の心を結びつけている大切な催しなのです。
それを裏付けるかのように、長岡まつりの日には他の地へ出ていった市民も一斉に長岡に帰ってきます。もしかしたらお盆や正月よりも戻ってくる人が多いかもしれません。日頃は遠く離れたところで暮らす、家族、親戚、友人が一緒になって夜空を見上げる……。これが長岡の夏です。
長岡を活気づける役割も担う花火
もちろん、現代では長岡まつりは観光資源としての価値も高いです。長岡は米と酒で知られる地ですが、逆に言えばそれ以外の名物は少ない。しかし、花火を機に長岡に来ていただくことで、より一層たくさんの方々に長岡の魅力を知っていただくことができると思います。花火が街を活性化する一翼を担っていることは間違いないでしょう。
現在、長岡では秋や冬にも花火を使ったイベントを開催しています。定期的に花火を使ったイベントを開催してくことで、長岡を花火の街として盛り上げていくためです。長岡まつり以外のイベントでも「フェニックス」を打ち上げるときには震災からの復興願っていることを解説するなど、本来の意味も置き去りにはしません。
共に花火を楽しみましょう!
例年、花火大会の告知ポスターは前年の大花火大会の模様を使うのですが、前年に花火大会がなかった今年のポスターは少し変わったシーンを使っています。信濃川の河川敷が夕暮れの優しい光に包まれる時間、一日の終わりを労うとともに日が暮れて花火が上がり始める時間を今か今かと待っているあの時間です。花火大会直前のワクワクする気持ちがよく表れており、このときを待ちに待った皆さんの気持ちを表現することができると思いました。
さて、再開のときが、近づいています。今年の長岡まつりもぜひ一緒に楽しみましょう!
期間限定で「ふわっと」が花火バージョンに!
一緒に長岡の夏を楽しもう!
さくっと軽い歯ざわりで人気のスナック「ふわっと」は、この時期限定で、長岡花火財団とタイアップした花火パッケージに衣装替え。長岡の夏を共に盛り上げます。
長岡で花火を楽しまれる方はもちろん、ご自宅でゆったりと過ごされる方もぜひ「ふわっと」で花火大会の雰囲気をお楽しみください。(花火パッケージは、新潟県限定で発売いたします。)
長岡花火公式サイト:https://nagaokamatsuri.com/