コロナウイルスの影響で2度の延期を余儀なくされた「成人式」が、2021年11月23日に開催されました。
感染者数が落ち着いているとはいえ、いまだ予断を許さない中でしたが、南相馬市のご厚意により岩塚製菓も式への参加の許可をいただきました。
中学校以来の再会となった子もおり、当時を思い出し懐かしく、うれしくなりました。
成人式では一緒に商品開発をしていた子が成人代表のあいさつをしたり、記念誌の編集をする子もいて、この数年の著しい成長を感じ、頼もしかったです。
式に参加された皆様に記念として、今年20周年となる『ふわっと』をプレゼントしました。
今年は進学や就職で東京に出てきた子どもたちとともに、「バタしょっと同窓会」を 岩塚製菓の東京事務所でも開催しました。
なかには中学校卒業以来の参加…という方も。
当時の⾯影を残しながらも、成⻑ぶりをうかがえ感慨深いひとときとなりました。
岩塚製菓では2011年の東日本大震災発生直後より、「おせんべい出前授業」「田んぼオーナ ー制度へのご招待」「作るぞ!元気なおせんべい授業」などの支援活動のほか、さまざまな形で義援金をお届けしています。
2019年9月現在
774万4901円 お届けしています。
詳しくはこちらへ
※義援金額には岩塚製菓以外からのご寄付も含まれています。
○みらい夢義援金の主な活用状況
お届けした義援金は、次世代育成や地域コミュニティ再生などを目的とした事業を実施するために役立てられています。
これまでは地域の重要な伝統文化である相馬野追を保存伝承し、次世代へ繋げるために制作した「相馬野馬追伝承用映画の製作費」、震災の津波被害により遺児、または孤児となった子どもやその保護者などを対象に、メンタルヘルス、進路・就職相談、生活相談、交流イベントなどの実施、園児が安心して自由に屋外活動ができるようにするための公立幼稚園園庭の芝生化や学校図書館の充実などを実施しています。
平成29年度に実施した東北楽天の選手との『ふれあいイベント』では子どもたちの元気な笑顔と歓声の輪が広がりました。
完全な復興までのカギは子どもたち。
広い視野を養いふるさとの良さを再認識してほしい
槇社長(以下槇)――震災から7年の月日を経て、震災後は開催を見送っていた浪江町などでも開催し、全地域で野馬追が復活するというニュースを拝見しました。
門馬市長(以下門馬)――震災により、祭りの担い手である多くの人たちが被災し、家族ともども避難を余儀なくされました。人だけでなく、地域で飼育されていた多くの馬も津波によって流されてしまいました。それでも、規模は大幅に縮小したものの、震災当時も予定通りに開催しました。
原発による警戒区域の住民の方々は、避難先から参加したと聞いています。大変な苦境のなかで開催したのは、南相馬市の誇る伝統ある祭りの火を絶やすわけにはいかないという強い意志と、犠牲になった方たちへの鎮魂と復興への願いからだったと思います。
今年、震災前に行っていた全地域で開催できることになり、復興活動に関しても新たな局面に入ったのだと実感しています。
槇――震災当時、市長はどのような立場におられたのですか?
門馬――市の経済部長として支援物資を担当していました。市民と直に接し、支える立場でしたから、とても多くの不安や心配を耳にしました。 何とかして要望に応えたいと思ってもできないことが多く、もどかしかったですね。
例えば、ガソリンの供給も最初は20リットルを確保するのに何時間も並んで待たないと買えない状況でした。それでも購入できないこともあったくらい。それが、国がかかわるとあっという間に解決しました。
あのときの市民の切実な声に応えたいという思いは今も続いています。
槇――除染や住居や道路といった市民の皆さん共通の問題が解決してきつつあるいま、復興に何が必要だと感じていますか?
門馬――家庭ごとに抱えている問題が違うので、より複雑になっていると感じています。高齢者世代の95%は避難先から戻ってきてくれているのですが、20代から30、40代の働き盛りの年代が増えないことに市として危機感を感じています。
震災から7年ですからね。避難先での生活が安定してしまって、いまさらということもあるのでしょうね。
継続した支援に感謝「バタしょっと」を通じて得た縁がさらに深まることに期待
槇――岩塚製菓では以前、東京・品川にある品川女子学院とコラボレーションした経験から、子どもたちの力には無限の可能性があると実感しました。ですから、毎年お届けしている義援金も、子どもたちの未来のために使っていただきたいと思っています。
門馬――南相馬市はよく「何もない」と言われます。でも、気候はいいし、自然も豊か。野馬追を代表する歴史を通じた人のつながりもある。これは南相馬市の財産なんですね。こういったかけがえのないふるさとの良さを子どもたちには知ってほしい。そのためには海外などに出向き、広い視野を養うことが必要だと感じています。
目の前にやるべきことはたくさんあります。それでも市の未来を担う子どもたちへの投資は不可欠です。岩塚製菓さんが震災以来継続して支援を続けてくださっているように、継続できる財源を確保したいと思っています。
槇――「バタしょっと」という商品を通じて、弊社は子どもたちとのご縁ができました。小学生だった彼らも高校3年生となり、進学や就職など、人生を考えるうえで、ターニングポイントにあると思います。折にふれ、ふるさとへの思いを伺っていますが、今後が本当に楽しみです。
門馬――岩塚製菓さんの地元である新潟県は震災当時、知事が「避難をしてこられた方は何人でも受け入れる」と言ってくださり、実際、多くの市民がお世話になりました。「何人でもいい」という言葉がどれだけ心強かったかしれません。そのときから感謝の念は忘れていませんが、「バタしょっと」で得たご縁にさらに感謝の気持ちが強まりました。
子どもたちを通じて得たご縁を機に、新たな交流が深まることを願っています。
●南相馬市長プロフィール
門馬 和夫(もんま かずお)
南相馬市原町区出身。大学卒業後、原町市役所に入職。南相馬市経済部長、南相馬市立総合病院事務部長などを経て、平成30年1月より第4代南相馬市長に。
趣味は海釣り、ドライブ。
2011年度は南相馬市の小学校全校を回り、おせんべいについての授業を行いました。またその場でおせんべいを揚げる「揚げたてちゃん」の実演を行い、できたてのおせんべいを食べてもらいました。
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それぞれの学校で当社社員によるおせんべい授業がスタート。昨年の出前授業を振り返りながら、「お米」や「おせんべい」について再度学習しました。児童たちは色々な生地を見たり製品を試食することで、どんな形・味・食感があるか興味津々。最後に、「みんなで商品を作ろう!」と提案すると、「やったー!」という歓声が聞こえてきました。その上で、「食べたい米菓の味」のアイディアを考えてもらいました。 | |
両校合同のグループワーク授業です。初対面?と思いきや、震災直後に同じ学校へ避難して一緒に勉強をしたことがあるそうで、すぐに打ち解けました。 当社は児童から「幸楽苑のしょうゆラーメン味」や「しそ納豆和風味」などユニークな味の提案をもらい、それらの中から10種類の試作品を用意しました。 グループごとに誰に・どんな時に食べてもらいたいかを話し合うと、辛い味や甘い味に分かれたりもしましたが、最終的には全グループが「ふわっと」の生地と「バターしょうゆ味」の組み合わせがいいという結果に。児童たちの「みんなで食べられる味にしたい。おじいちゃんやおばあちゃんにも食べてもらいたい」という思いによって、やわらかくて優しい味「ふわっと バターしょうゆ味」が選ばれたのです。 |
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夏休みの課題として考えたパッケージデザインと中身の味含めたグループ作品の発表会を行いました。代表者は当社が作成した見本品を持ちながら商品名やデザイン、工夫した点などを緊張した面持ちながら堂々と発表していました。 発表後は児童による投票を行うと、6案あった作品のうち、『バタしょっと』と『俺にまかせろ佐藤くんのイチ押し!!』の2品が同一投票に。最終的には決選投票で代表作品は『バタしょっと』に決定。子どもたちの元気がいっぱい詰まった商品になりました。 |